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特集:ことば遊びを楽しもう
日本人は昔から頓知や機知が大好きです。ことばを表から裏から上から下から眺めたり、音だけを取り出してあれこれ連想してみたり、意味を深く考えたり。
そうやって多種多様なことば遊びが伝わってきました。江戸趣味「雑俳」の会を主宰する篝火舎心亭さんとともに、ことば遊びの世界を楽しみましょう。
篝火舎 心亭(かがりや しんてい)さん : 1935年生まれ。江戸趣味「雑俳」の会「眺牛會(ちょぎゅうかい)」や「新造連」を主宰。伝統芸能にも造詣が深く、国立劇場、歌舞伎座の常任解説委員。朝日新聞HP「どらく」連載「風流ことばあそび塾」を監修中。
新造連の皆さん。粋でお洒落なことば遊びの世界へようこそ!!

「サツも利からトチル」「鳴らぬ鐘は買えぬ」…。口に出してみると、何となくおかしな感じがしませんか。

前者は「猿も木から落ちる」、後者は「蒔かぬ種は生えぬ」というよく知られたことわざを、それぞれもじったことば遊びです。これらは実は、「雑俳(ざっぱい)」ということば遊びの一種だってこと、ご存知ですか?
11月下旬、篝火舎心亭さんが主宰する雑俳の会「新造連(しんぞうれん)」におじゃましました。

参加者はあらかじめ出題されたお題(兼題)にあわせて句を持ち寄り、その中からみんなでよい作品を選び出します。また、当日出題されたお題(席題)にあわせて、即興で句を捻り出します。思いがけない作品にドッと笑いが起きたかと思うと、その出来栄えに参加者一同「う〜ん」と唸り声を上げることも。ことばを捻り出す作業もさることながら、選ぶ作業にも集中力が必要とされて、脳がびしばし鍛えられそうです。
さっそく篝火舎さんに遊び方をお聞きしました。

『雑俳』(ザッパイ)って何?
「雑俳」とは「多な形式と内容をもつ諧」の意。室町時代以来の「連歌」から、稽古のために生まれ、独自の発達をとげた一般庶民の知的遊戯。「前句附」「冠附」「沓附」「折句」など種目は100種類以上。大きく分けて、音をもじる「字もじり」と意味をもじる「気もじり」の2種類がある。「川柳」は、もともと「雑俳」の中の「前句附」という種目で、<七・七>の前句につける<五・七・五>のこと。その後、前句がなくても十分に鑑賞に耐えられるものが「川柳」になった。篝火舎さんによると、「雑俳」を貫く最高の価値が「洒落」という概念。「一瞬に理解できて覚えやすく、快い微笑を誘うもの。洗い上げて多くを言わない、含蓄を含めて余情の広がりをつくるところに価値があります」。
選句は名前を伏せて、誰の作品かわからない状態で行います。
篝火舎心亭さん直伝! ことば遊び入門
地口附「本邦有名流行歌題名 昭和以降」
地口附(じくちづけ)は語呂合わせの類で、比較的自由度の高い遊び方です。
作品の字面が持っている表面上の内容と、元句である裏の意味とが表裏一体になって醸し出す味わいに価値があります。表と裏は離れているほど、意外性があって面白く、このことを「表裏が立っている」といい、評価が高くなります。
例えば作例では、元の歌のタイトルからは想像のつかなかったイメージが広がっていませんか?
〔作例〕:( )内が元句にあたる
・銀座の老いの物語
 (銀座の恋の物語)
・処置なしの鼻
 (クチナシの花)
・皆寝たようよお子様起こすな
 (港のヨーコヨコハマヨコスカ)
・誘惑ちょっとされましょう
 (有楽町で逢いましょう)
地口附「本邦有名流行歌題名 昭和以降」
笠附「あれこれ○」
笠附(かさづけ)は、五・七・五をちょっと易しくしたものとお考えください。
「笠附」の「笠」は、五・七・五の上五(かみご)の意。出された言葉を上五として、それに七・五をつけて、五七五をつくります。
「あれこれ○」の○は、「てにをは随意」という意で、「と」とか「は」を加えて5文字にします。笠附では、いろいろな意味にとれる余韻のある句が高点になります。
〔作例〕
・あれこれあって夫婦の仲の良さ
・あれこれ気づく女房が鼻につき
・あれこれ品定めするうちが花
・あれこれ無駄を揃える初節句
笠附「あれこれ○」
冠沓附「山手線の駅名」、気結冠沓「手道具一切」
冠沓附(かんくつづけ)は七・七の上下をしばるという意味で、選んだことばの音を七・七の頭とお尻に据える遊び方です。
気結冠沓は「きむすびかんくつ」と読みます。「気結」は選んだことばの意味を詠み込むという意味、冠沓は冠沓附と同じです。
〔作例〕
・家族構成つるすベランダ
(冠沓附「山手線の駅名」→「神田(かんだ)」。「か」を頭、「んだ」をお尻に据えています)

・はさきをといでためす濡れ髪
(気結冠沓「手道具一切」→はさみ。上下を「はさ」と「み」でしぼり、かつ、はさみのことを詠み込んでいます)
冠沓附「山手線の駅名」、気結冠沓「手道具一切」
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