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たっぷり一反 さらしを使いこなす
昔はどこの家庭にもあったさらし。台所のふきんから、手ぬぐい、肌着まで、 夏の季語になるほど日本人には身近な生活の道具でした。凛とした白さや さらっとした手触りが魅力と語る柳瀬久美子さんに、さらしの活用術を伺いました。
柳瀬 久美子(やなせ くみこ)さん : フードコーディネーター。料理、お菓子のみならず、センスあふれるスタイリングに定評がある。著書に『はたらく道具 使う器』(主婦と生活社)、『お菓子な人生』(六耀社)ほか多数。
柳瀬久美子さん 柳瀬さんにとってのさらしは、おじいさんとおばあさんの思い出につながる、温もりのあるものです。最初にさらしに触れたのは子供のころのこと。
「芸人だった祖父は、毎年お正月にお世話になった方へオリジナルの手ぬぐいを配っていました。若いころは祖母がさらしを買ってきては、家紋や季節の模様の型紙で柄を染めていたそうです。幼い私は、使わなくなった型紙をぬり絵の道具にして遊びました。さらしは楽しくて懐かしい記憶を運んでくれます」

やがて家を離れて暮らすようになってから、柳瀬さんはさらしのない生活を送っていましたが、和菓子作りを始めたのがきっかけで、その魅力を再発見したそうです。何度も繰り返し使えるクッキングシートとして蒸しものに使ったり、銀のスプーンを磨いたり、さらに綿100%のさらしは、袋状に縫い合わせると、旅行用の仕分け袋に最適でした。

「おろしたてのさらしはまっさらなノートみたい。1反(約10m)のさらしを前に、『さあ、どうやって使いこなそう』と、わくわくするんです。最後まで使い切ったときは満ち足りた気持ちになります」
さらしは丈夫なので、柳瀬さんは1反を2〜3年ほどかけて使い切ります。その間に、新しいアイデアも次々と浮かんでくるそうです。「指で折り目をつけて、刺繍糸でざくざく縫えば、簡単に袋ができます。おすそ分けのラッピングとしても重宝するんですよ。たまねぎやじゃがいもだって、ちょっとおめかしできるでしょう」
皆さんもさらしを広げて、自分なりの活用法を見つけてみませんか?
手ぬぐい 蒸しものに敷いて
型紙や芋判を手作りして、自分なりのデザインを楽しみます。中央の桜は野菜の抜き型でくり抜いた芋で、手前の蔦は柳瀬家の家紋の型紙で染めました。自分の使いやすい大きさに合わせられるのも、さらしならではです。
おこわやおまんじゅうを蒸すには、さらしが一番。水でぬらして固く絞り、せいろに敷けば、ふっくらと仕上がります。さらしの裾を持ち上げて、中身をそのまま運べるのも便利(写真左)。
蒸し上がったおまんじゅうをバットで冷ますときも、さらしを敷きます。食材がくっつかないので、おまんじゅうの皮が破れません(写真右)。

器のざぶとん 食器や漆器のお手入れに 旅行用の仕分け袋
底がざらざらした糸引きの器は、重ねたときに傷つくのが心配。大きさに合わせて4辺を縫ったさらしを間に挟むと安心です。柳瀬さんは、見た目を重視して、使う器ごとに刺繍糸で色分けします。
使い込んでシミだらけになったさらしは、最後に銀のスプーンや漆器のお手入れに使います。クリーナーをつけた銀のスプーンをやわらかいさらしで磨くとぴかぴかになります。
畳んだシャツの幅に合わせて袋を作ります。ひもを通したいところですが、かさばるので口はそのままに。衣類のほか、お土産やガイドブックを分けて入れれば、かばんの中がすっきり片付きます。
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