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自分らしく暮らしを楽しむ
東京・あきる野市で和の生活雑貨店を営む三上裕子さんは、愛着のある手仕事の道具に囲まれて、自分らしく心地よい暮らしを楽しんでいます。「ひねもす庵」と名づけた自宅には、使い込まれたお気に入りの道具がいっぱい。「狭い部屋でも、楽しもうという気持ちさえあればいい」という三上さんの素敵な暮らしぶりをご紹介します。
三上 裕子(みかみ ゆうこ)さん:和の生活雑貨を扱う「クラフトサロン縁」オーナー。作り手と使い手の縁を結びたいと、20年ほど前に自宅の一角で手仕事の道具の店をオープン。道具の販売だけでなく、独自のアイディアで商品開発にもかかわっている。
ひとり夕べを楽しむ準備をする三上さん大切に受け継ぎたい手仕事の道具たち
「この包丁、とても切れ味がいいの。種子島の職人さんが作ったもので、お裁縫ばさみもよく切れるのよ」。道具を語る三上さんの表情は、明るく生き生きとしています。そんな三上さんが暮らす「ひねもす庵」は、土や木、紙などの自然素材でつくられた、温かくくつろげる空間です。

職人が作る手仕事の道具にこだわり「よほど気に入ったものしか買わない」という三上さん。納得のいくものが見つかるまで探し、気に入ったものが見つかると、長く大切に、とことん使います。
「私たちは、生活が次第に豊かになり、ものが増えていくのを見てきた世代。何でも簡単に手に入るようになった代わりに、次の世代へ伝えていくという大切なことを忘れてしまった気がします。祖母が子どものころに使っていた、かけたお椀を修理して私が使い、塗り直して娘へと受け継いでいく。道具を介してコミュニケーションが生まれ、ものにまつわる思い出話が伝わっていくんです。娘たちも、ものを大切に使うことを自然に学んでいたようです」。

三上さんが選ぶ道具は天然素材のものばかり。「手や口にやさしく、最後は土にかえるから環境にもやさしい。いい道具は心を豊かにしてくれます」という三上さんの暮らしに、風合いを増した道具がしっくりと溶け込んでいました。
穴杓子、ざる、裁縫箱 2階の部屋と階段下スペース
枝豆をすくう穴杓子(左)は長野の「とうじ籠」という、本来はそば専用の道具。細長い大小のざるにはそばと枝豆を盛って(中)。「ちょうどよい大きさの道具ってなかなかないんです。このざるは大きさも形も理想的」。ビールを注いだ焼き締めの器は、冷蔵庫で冷やして食卓へ。「きめ細かい泡がたつから、私はグラスより断然これ!」
ボタン付けなど「ちょっとした縫い物」に活躍する楢の裁縫箱は一番の愛用品(右)。

以前は物置に使っていた2階は窓辺に座椅子と低い机をおいて読書コーナーに。小窓にかけられたシンプルな麻の暖簾から、やわらかい光がもれる心地よい空間です。階段下には座り心地のよい肘掛け椅子がおかれ、ちょっとしたくつろぎスペースに。
愛用の道具と暮らす
キッチン キッチン
使いやすい丸いまな板や切れ味のいい包丁、土鍋や飯窯、鉄瓶など、キッチンには働き者の道具がいっぱい。家具職人が作ったかつお節削りは麺つゆや味噌汁づくりに欠かせません。丈夫な刃は職人のカンナと同じ素材を使用。「気持ちがいいほどよく削れます。100年でも200年でも、ひ孫の代まで使えますよ」

和室 和室
普段は寝室として使っている和室も、1枚の板を敷き、掛け軸をかけたらあっという間にお茶室に早がわり。桐の火鉢におさまった南部鉄器の茶釜は、実は、炊飯用の飯窯にふたをつけたもの。「道具は本来の使い方にこだわらず、どんな用途に使えるか考えるのも楽しい」と、職人に頼んでふたを作ってもらい、茶釜としても使えるようにしたそうです。

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